心臓は生まれてから死ぬまで休む事無く動き続ける臓器で、1日に約10万回収縮・拡張を繰り返します。人生80年として実に29億2千万回動く事になります。そこで今日は心臓の検査の1つで、循環器領域では最も基本となり且つ多用される心電図について記載したいと思います。
心電図は心臓内の電気現象をグラフ化し、縦軸に電圧・横軸に時間として表示されます。
P・QRS・T波より成り、P波は心房の脱分極・QRS波は心室の脱分極・T波は心室の再分極を表し時々U波(T波の右側に認め、心房の再分極を表す。)が見られることがあります。脱分極とは心筋の興奮を示し、再分極とは興奮状態から非興奮状態へと心筋が戻る過程を繰り返すことによって、心臓内に電位差を生じ心電図が記録され心臓の収縮・弛緩が起こります。
心電図と一言で言われていますが多種の検査法があり、通常は標準12誘導として外来や入院で施行されています。身近な所では、24時間ホルター心電図や負荷心電図・心電図モニター等も用いられています。その他レートポテンシャル・体表面心臓電位図等があります。特殊な電気生理学的検査法として、食道誘導・心腔内誘導心電図等もあります。
では心電図では何が解るのか?心電図の最も得意とするのは、不整脈を分類出来る事です。不整脈とは心臓が一定のリズムで収縮・拡張出来ない事で、その他に心房や心房ー心室間或いは心室の電気刺激伝導異常などを指します。心筋自体に血液が十分に行き渡らない(これを虚血と言う)時にも心電図変化が起こり特徴的な波形を示します。又血液中には微量ではありますがナトリウム・カリウム・カルシウム等の電解質が存在し、これらの増減も心電図に反映される事が有ります。ただ心不全に関しては心電図だけでは判断できません。
当院には(H22.1現在)循環器専門医が2名常勤しており、同一法人内の北成病院とも連携をとりながら検査や治療を行っております。
簡単ですが心電図の概要を記載しました。次回から不整脈の種類と特徴などを提示していきたいと思います。(生)