平成22年7月31日開催した学習会は、当院糖尿病センターの吉田昌弘先生から「インクレチン関連薬」についてお話を聞きました。
近年、糖尿病の新しい飲み薬として「インクレチン関連薬」が注目されています。
インクレチンとは小腸より分泌されるホルモンで、血糖上昇時にのみインスリンの分泌を促進するという作用があります。さらに、胃腸の運動を抑える、食欲を低下させる、膵臓のインスリンを出す細胞を保護するなどの作用もあります。体内のインクレチンはDPP-4という酵素で分解されて活性を失うという特徴があります。
注射薬の「GLP-1受容体作動薬」は体内で分解されずにインクレチンと同じ効果を及ぼします。内服薬の「DPP-4阻害薬」は体内のインクレチンの分解を防いでその効果を高めます。これまでの糖尿病の飲み薬では、低血糖や体重増加の副作用、長年使っていると効かなくなってくるなどの欠点がありました。「インクレチン関連薬」は、低血糖が起こりくい、体重が増えにくい、体内のインスリンを出す細胞を増やす可能性があるなど、これまでの薬になかった特徴があります。
西成病院ではGLP-1受容体作動薬の「ビクトーザ」、DPP-4阻害薬の「ジャヌビア」「グラクティブ」「エクア」を取り扱っています。当院の2型糖尿病の患者さんのデータでは、食事療法と従来の飲み薬でHbA1c 8%以上と高かったのがDPP-4阻害薬の使用で平均1%程度改善していました。糖尿病の薬には様々な種類があり、その選択は患者さんの病態により千差万別となっておりますが、「インクレチン関連薬」は大いに効果が期待されています。